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臨時号⑩:5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の差別化とIT

コロナ後の不況の中でどう差別化するのか?

前回の「コロナ禍の工務店・工事会社の売上計画」では
①売上は1~3割減る恐れがある(リーマン・ショック時の影響から試算)
②借入をした場合、返済分の売上確保・コスト減が必要
ことを踏まえると、
「不況の中で前期以上の売上を確保しなくてはならない」
「かつ、対面営業は制限され、施工現場の安全確保が求められる」
ため、コロナ前よりさらに他社との差別化が求められることについてご説明しました。

前回の記事更新後、6月に野村総研の市場予測が更新され、2020年度の新設住宅着工は前年度比マイナス17%の73万戸の予測でした。

前回記事では東日本大震災時の経験に基づく対策についても書きましたが、今回はより詳細に不況下での建設業の差別化とITについて考えます。

7つのチェックリスト

早速ですが、以下のチェックリストに「✓」をつけてみてください。

図1

1つでも「✓」のついた会社は、
「IT活用によって、実は既に他社と差別化できている」と言えます。
「え?それだけ?」と思われるかもしれませんが、「わずかな差が大きな差になる」背景について、詳しく説明していきます。

他業界に比べてIT化が遅れている建設業

先ほどのチェックリストについて各種統計から建設業の回答と、全産業の比較をしてみましょう。

図2

図3

いかがでしょうか?
大半の項目で建設業の平均値は他産業を下回っています。
多くの会社で「大切なのはわかってるけど行動できない」のが現状と推測されます。

他業界に比べ、大企業も含めIT化が遅れている建設業の中では、「ITを活用できている」ことで、他社と差別化できる業界とも言えます。

例えばSNSでの発信を行っていれば、顧客獲得、採用等の面で7割以上の企業がやっていない分、有利に働きます。
ITにより業務を効率化・調達方法を多様化していれば、利益率に差が出てきます。しかも大半のITサービスは無料もしくは小額から開始できます。

もちろんITは道具にすぎません。ただ、今回のコロナをきっかけに「昭和に最適化された商習慣・仕事のやり方」を見直すことは重要ですし、安く便利なツールが既に世の中にある以上、最大限活用すべきだと思います。

より詳しく見ていきます。
(上記データの出所についてはこの記事の最後に記載しています。)

IT化のポイントは「経営者」・「横断で小さく試す」

IT分野の業界団体が行った調査(対象は大企業中心)では先述のように建設業の経営者が「経営戦略実現にIT戦略は無くてはならない」と回答する比率が他産業より低いことが明らかになっています。

また、IT化が推進できている企業に「有効な取り組み」を確認したところ、
・経営層の巻き込み
・中長期視点とスモールスタート
・部門横断検討会・プロジェクト

の3点が挙がりました。

上記の結果を踏まえると、
IT化は「管理部門に任せるもの」ではなく、「経営者も取り組み、全社で行うもの」、また、無理していきなり全社に入れるのではなく、「小さく試してみる」ことが大切と考えられます。

中小企業ではどうでしょうか?中小企業白書を見てみると、
「ITと業績の関係」「進める上での課題」が指摘されています。

IT投資「行っている」企業と「そうでない企業」の差

2016年度中小企業白書の「IT 投資を行っている企業」と「行っていない企業」の 3 年間平均の売上高、売上高経常利益率の比較調査によれば、「IT 投資を行っている企業」の方が、「行っていない企業」に比べ売上、売上高経常利益率ともに水準が高いことが指摘されています。
「IT化の取り組みは業績を左右するもの」であると言えます。

白書の項目を整理すると「売上を増やす」「利益を残す」二分野での活用が業績に寄与した可能性が指摘されています。

売上を増やす:自社ホームページ、SNS、顧客管理クラウドの活用
利益を残す:ネット経由での資材調達、効率化のためのクラウド、
      情報共有ツールの活用

また、白書では、予算を課題に挙げる企業もあるものの、予算の少ない中小企業でも使える安価なサービスが活用できるようになってきているため、
「効果がよく分からない」
「使いこなせる従業員や旗振り役の不在」
「相談相手の不在」
等が進める上での課題になっていることが指摘されています。

中小企業では何か新しいことを進めるにあたって、経営者が旗振り役になることが多いのが実情です。そのため、経営者が従来のやり方に拘らず、「まず調べて行動する」ことで、建設業では今からでも差別化になると考えられます。
CraftBank会員からも「オンライン商談、やってみたら便利だね」という声があり、「手を付けてみる」ことが大切なのだと思います。

・ITは業績を左右するものだと理解し
・自身で情報を収集し
・google、facebook、LINE、オンライン商談などのツールに直接触れ
・相談相手を見つけ
・社内の旗振り役になっていき
・小さく試してみる

業界団体の感染予防ガイドライン × IT

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて業界団体が策定したガイドラインに「テレワークやオンライン商談、現場管理のリモート化を推進し、事業スタイルの変革を」と、感染防止のためのITの活用が盛り込まれました。

コロナによってITの活用は「売上を増やす」「利益を残す」ことに加え「顧客や従業員、職人の感染防止」という要素も加わりました。取り組む優先度としては、「感染防止のためのIT活用」から着手するのが有効と考えられます。

オンラインセミナー等、全国どこからでも無料~低予算で他社の事例の情報収集が可能になっていますので、活用いただければ幸いです。

従来のやり方に拘った企業はどうなるか?

最後に、これまで家業も含め、倒産した会社や経営難の会社に接してきた私(高木)の実体験から、「苦しくなっていく企業の姿」を書いてみました。

本記事をお読みの方にはこうなってほしくない、少しでも「予防」になれば、という思いで書いています。

「経験と勘だ!」「俺は独自の道を行くんだ!」
社長はパソコンに触れない、家族任せ、社外の相談相手無し
必要な数字や契約書、記録がどこにあるか分からないので、根拠を持って取引先と交渉できない
 ↓
「いきなり大手に切られた!」「競合が参入してきた!」
「え?いつも頼んでた職人さんが請けてくれないって?」

SNS、業界紙等で情報取集をせず、取引先、競合の動きが分からないので、動きがあったときに慌てる
 ↓
「ホームページなんて何で作るの?お金かかるんじゃないの?」
「新規先とか採用候補者増えないなあ…」

ホームページが無いので、新規取引を検討している先から信用されない、認知されない、採用候補者も情報が無く応募しない
 ↓
「社長!こんなトラブル続きでやってられませんよ!」
「便利なものが安く使える時代に何やってるんですか?」

非効率な業務(紙、口頭、白板、電話帳)によるトラブル、現場疲弊
 ↓
「テレワークを認めている他社に移ります」
「職人の感染防止に努めている他の元請の仕事を請けます」

コロナ対策も不十分で従業員や顧客が離れる
    ↓
「え?コロナで影響を受けた企業の支援制度があるの?」
公的な支援制度の存在を知らず、対応が遅れる(他社は先んじて対応済)
 ↓
結果的に「中小企業間の差」が拡大していく

次回は実際に中小企業のIT導入を推進されてきた専門家の意見も踏まえ、より具体的に「企業規模別にどこから手を付けるか(小さな会社に大げさなものは不要)」「どのプロセスがIT化されているか」「どのツールが有効か」についてまとめます。

この記事は新建ハウジングのチカラボと連携しています


この記事を書いた人:髙木 健次(ConTech総研)

今回の記事作成に当たって活用したデータの出所ほか

https://juas.or.jp/ 
https://www.meti.go.jp/statistics/zyo/zyouhou/result-2/h29jyojitsu.html
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html
https://www.smrj.go.jp/doc/org/201808_surveyreport.pdf
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2005/12/news042.html
https://corp.bell-face.com/news/2935

図4

【過去記事】臨時号:新型コロナウイルス感染症と建設業
新型コロナが変える建設業の今後:直近動向と"コロナ後"の考察(4/2時点)

新型コロナが変える建設業の働き方 ~対面と紙とテレワーク(4/14時点)

建設業特化・新型コロナウイルス関連支援策(4/20時点)

図解 5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の資金計画・資金繰り

海外事例から見る、 工事再開後の建設現場における感染防止策 (5/7時点)

図解 5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の売上計画 3つのポイント

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