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臨時号⑧:海外事例から見る、 工事再開後の建設現場における感染防止策 (5/7時点)

※20年5月6日時点の情報を元に書かれた記事になります

GW明けまで、各社 工事中断に踏み切っていましたが、清水建設や鹿島建設など、条件付きで工事再開する企業が出始めてきました。

より多くの企業が工事再開していくために、ロックダウンを開けて経済活動を再開し始めている海外の事例も踏まえ、今後求められていくであろう日本の現場の感染対策を考察しました。


条件付きで再開し始めた建設業

先日コロナの感染リスクを踏まえ、鹿島建設や前田建設、安藤ハザマ、奥村組、熊谷組、フジタの大手・準大手6社は、原則として工事を中断。

清水建設や大林組、西松建設、戸田建設も工事中断の対象地域を拡大を発表するなど、全国各地で工事中断が発表されていました。


大林組のような、中断の延長方針の企業もいる一方で、

5/6から、清水建設や鹿島建設などは、現場での感染防止策を徹底した上で、工事再開に踏み切り始めています。

清水建設は同じ建設現場で社員3人が新型コロナに感染し、うち1人が死亡したことを受け、4月13日から当時緊急事態宣言下にあった東京都など7都府県での工事を5月6日まで中断すると発表。さらに国が緊急事態宣言の対象地域を全国に広げたことに伴い、工事中断地域を、北海道など6道府県を加えた特定警戒都道府県に拡大した。同社ではこれら13の都道府県で630カ所の工事現場を抱えていたが、85%で中断したという。
清水建設は工事再開に向け、現場ごとに感染防止策を徹底する。例えば清水建設の社員を2グループに分けてそれぞれ1日おきに出勤するようにし、現場内の社員数を減らす。また、下請け会社の社員とその日の注意事項を確認する朝礼は中止し、オンラインでの情報共有に切り替える。作業員の休憩所も複数設け、1カ所に人が集まらないようにする。


まだまだコロナの感染リスクが消えない中でも工事再開をしていくには、

清水建設や鹿島建設のように、コロナの感染対策を含めた新たな安全対策を元に、現場を運営していくことが必須条件となると考えられます。

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海外主要国の、建設現場のコロナ感染対策

では、建設現場でのコロナ感染リスクを下げながら、工事をしていくにあたり、具体的にどのようなガイドラインを引くべきか。

すでに海外では、コロナの感染対策に関するガイドラインが発表されており、主要な建設企業はこのガイドラインに従い、従業員に徹底させる姿勢を見せ始めています。

20/5/6時点で、特に被害の多い4カ国(アメリカ・スペイン・イタリア・イギリス)のガイドラインになります。
※下記クリックをすると、ガイドラインページを確認できます。
ニューヨーク
スペイン
イタリア
イギリス

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各国の事例を見るに、2つのことが言えそうです。

① シチュエーションごとの、細かな規定が存在

下の画像は、イギリスの建設ガイドラインです。

「移動前」「現場への移動中」「現場への入退場時」「現場管理」「感染ん疑いのあるスタッフがいる場合」と、シチュエーションごとの安全管理内容が細かく定義されています。

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② 各国に共通している項目がある

以下の内容は、どの国にも共通していました。

・体温測定などを徹底し、感染疑いのある人間は働かせないこと
・現場入場時、個人情報の明記(後日症状が発症した場合、追跡可能にするため)
・現場内では、お互い2mの距離を維持(対面が発生する場合は、上限時間を規定)
・現場内では、作業前後で手洗いの徹底
・現場内では、定期的に、現場の清掃 / 消毒を実施


主要な建設企業に見られるコロナ感染対策

各国が発表しているガイドラインに対する、各企業の対応も見ていきたいと思います。

今回 世界で時価総額の大きなTop3社の動きを見てみます。

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VINCI(仏) の事例

2020年3月31日に行われた株主総会にて、代表のXavier Huillardは以下のコメントを残しています。

VINCIのビジネスレベルは、3月17日にロックダウン措置が導入された後、特にフランスでCovid-19の拡散を食い止めるために世界中で導入された措置によって深刻な影響を受けています。
VINCI企業は、健康状態と規制状況が許す限りすぐに閉鎖された活動の再開に注力
その際、フランスでは、専門組織によって作成され、4月上旬に同国の労働省と連帯保健省によって検証された公衆衛生のアドバイスに従います。
このような状況では、グループ会社の優先事項は、健康状態が許す限り、従業員とその代表者との協議の後、プロジェクトオーナーと合意し、公的機関によって定義された基準に従って、可能な限り作業を再開することです。


中国建築股份有限公司(中国) の事例

海外プロジェクトで「6 + 1」の防疫・防除対策を迅速に策定し、生産再開後のベルト・ロード沿いのプロジェクトの安全を確保。

1.  プロジェクト内での病気の蔓延を防ぎ、症例を国外に輸出しないこと
2. 医療チームと大使館の専門家を招待して、従業員に感染防止と制御のトレーニングを提供
3. 国ベースの監督を正確に提供し、動的な大規模感染予防および管理計画を策定し、日次レポートに従って緊急対応措置を迅速に調整
4. すべての従業員の旅行情報を記録し、フライト情報を登録して確認。国に出入りするスタッフは、健康状態を毎日監視しながら、個別に隔離。分離リリースの通知を受け取って初めて、作業に戻ることができます。
5. 十分な防疫備蓄を確保
6. 自治体と連絡を取り、会社の社会的責任を果たす
7.  専門家を招いて、現在海外で仕事に戻ることができない従業員に現職のトレーニングを提供し、流行の管理の中で高い士気を保ち、従業員が孤立しながらスキルを向上させ続けるようにしています。

https://english.cscec.com/CompanyNews/CorporateNews/202004/3068873.html


Larsen & Toubro(印)の事例

企業の代表が社内外に対して姿勢を公表しています。

・原則 在宅勤務
・衛生、ケータリング、廃棄物管理、社会的距離を含む予防策が厳格に維持されるように、管理の強化
・救急車、医師、医療施設は、24時間365日、すべての場所で労働者と従業員が利用できる。

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主要各社から学べること

① 各国が発表している感染対策ガイドラインに従うこと

例にあげた3社は、国を跨いで事業展開していること、ご家族まで含めると、従業員が数万人以上いることもあり、各国の方針に従った安全管理の徹底を強く謳っていました。

② 必要に応じて、自社で独自のガイドラインや対策を実行

国が定めるガイドラインは、地域によって粒度が異なっており、また未だ策定中の場合もあります。
そのため、『各国のガイドラインに従う』だけでは十分と言い切れません。

そこで、安全確保や運用の徹底するために、一歩踏み込んだ、自社独自の運用ルールを策定を行っています。


日本の建設業に対する感染対策ガイドライン

国土交通省も、他国同様 建設工事現場でのガイドラインを発表しています。

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具体的な項目について、簡単に他国のガイドラインとの比較をしてみると、いくつかのことが言えそうです。

① 項目差が多く、共通項は細かな定義まで行われていない

特に現場における安全項目が、他国より少ないようです。
また、イギリスでは、『対面打ち合わせの上限は15分以内』など、細かな単位で定義までされていますが、日本はそこまで踏み込んでいません。

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② 厳しい規定ではない

『すべての作業従事者等の健康管理に留意するよう”依頼”』
『適切な措置が工事られるよう”依頼”』
『一定の距離を保つことや作業場所の換気の”励行”』

言葉尻かもしれませんが、強い言葉は使用されておらず、
あくまで”依頼”程度であり、実施しないことによる不利益などは存在しないようでした。


日本の建設現場に求められる、感染防止策

ここまで、海外のガイドラインと企業の姿勢、そして日本の事例をみてきましたが、

海外の細かな規定を鑑みるに、日本の建設現場におけるガイドラインは、今後より細かく規定されていく可能性が十分に考えられそうです。

また、ガイドラインの徹底は当然ながら、仮に一箇所でも建設現場で感染者が出れば、実際にガイドラインの運用が徹底されているか、報告義務など科され始めるかもしれません。

こうした将来の可能性を踏まえると、

緊急事態宣言後は 、各社ごとに 自社スタッフおよび協力会社の安全確保ルールの周知・徹底や、管理・報告の仕組み化まで踏み込んだ、現場管理の安全管理が求められていくと考えられます。

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既に前例のない事態となっている以上、あらゆる状況を想定して準備を進める必要があります。ConTech総研では今後も、新型コロナウイルス感染症に関する建設業の情報や考察を発信してまいります。

この記事を書いた人:庭瀬 紀寿(ConTech総研)


過去記事】臨時号:新型コロナウイルス感染症と建設業
臨時号② 新型コロナが変える建設業の今後:直近動向と"コロナ後"の考察(4/2時点)

臨時号③ コロナ禍で日本の建設業が止まる可能性は?欧米各国の動向を基に考察する(4/12時点)

臨時号④:新型コロナが変える建設業の働き方 ~対面と紙とテレワーク(4/14時点)

臨時号⑤:建設業特化・新型コロナウイルス関連支援策(4/20時点)

臨時号⑥ コロナ禍でも絶対に止まらない「必要不可欠」な工事とは?諸外国の定義から見えた3つの傾向(4/21時点)

臨時号⑦:図解 5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の資金計画・資金繰り



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新型コロナウイルス感染症の流行が建設業に与える影響と、中小企業支援策等をまとめます

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