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⑤職人不足時代の元請の工事会社探し

前回のレポートと今回のテーマ


ConTech総研では、建設業に特化した独自データを活用し、これまで感覚で議論されてきた「職人不足」をデータで「見える化」することを進めています。
前回は、仕事を請ける側の工事会社の視点で「職人不足時代の工事会社の対応策」をまとめました。今回は、仕事を発注する側の元請の視点で、「職人不足時代の元請の工事会社探し」がテーマです。

これまで建設業界では、「住宅展示場の来店数」等、「売ること」を意識したデータの議論が中心でした。職人不足の今の状況では「都道府県別建設業者の社数」のように「作り手」に関するデータも意識する必要があります。

↓ 前回のレポート

職人不足時代の元請の対応策

職人不足時代の元請の対応策について、仮説ベースですが、以下3点にまとめました。

Ⅰ:職人不足は既に起きている
Ⅱ:職人不足は工種 × 地域 で見る
Ⅲ:電話帳より、
データに基づく工事会社探し

以下、詳細です。

Ⅰ 職人不足は既に起きている

「職人不足」とネットで検索すると、上記の
「2030年に大工が不足する」
「この先、新設住宅着工は減るが、大工はもっと減る」
というレポートが出てきます。

「日本全国」のマクロで見ると、このレポートの通りですが、
「地域別」に区切ってみるとどうでしょうか?

国土交通省 建設工事施工統計調査の許可業者数の推移(2017年版)を見てみます。この統計は日本中の建設業許可業者を可能な限り国が調査したものです。

図1

図2

建設業の稼働許可業者数(許可を持っているだけでなく、年間100万円以上の建設売上があり、実際に稼働している企業数)の2013年から2017年の5ヶ年の推移を見ると、

・完工高全体は微増傾向にある中、許可業者は毎年平均1万社減
・三大都市圏(首都圏、大阪、愛知)以外の地域の減少率が大きい
ことが分かります。

さらに、県別の減少率を見てみます。
サンプルとして特に減少率が大きい九州・沖縄地域を見てみると、

図3


福岡、宮崎では特に減少率が大きくなっています。廃業、建設業許可の失効に加え、本社移転等が影響していると考えられます。
このように、地域ごとに状況には大きく差異があります。

Ⅱ 職人不足は工種 × 地域 で見る

さらに、工種別に国交省の統計を見てみます。
前回のレポートでも触れた「希少工種」、左官をサンプルに検証します。

図4

左官の建設業許可業者に限ると、
長崎には2017年時点で1社もありません。和歌山は1社です。
一方、埼玉、岐阜などの特定の県に偏っていることが分かります。
もちろん、この統計は許可を持たない企業や国の調査で追いきれない小規模企業は含まれていませんので、参考値です。(実際に長崎、和歌山の左官業者をネットで検索すると何社か出てきます。)

SUSTINAには複数の大手企業の経営企画、積算購買、工務部門から工事会社探しの依頼が寄せられています。
「大阪本社の会社が新たに奈良に進出したが、工事会社探しに困っている」
ケースのように、エリア拡大の際、その地域の工事会社の状況を十分に確認する必要があります。
先述の「長崎の左官」のように、「その地域では非常に希少な工種の工事を営業優先で請けてしまう」リスクも考慮する必要があります。

画像5

Ⅲ データに基づく工事会社探し

繁忙期は従業員総出で電話帳を使って工事会社を探している

SUSTINAに実際に寄せられた首都圏のハウスメーカーの声です。
ネットが発達した今の時代に、東京でも未だに電話帳・・・

中小企業庁の調査では、2012年時点で建設業の中小企業のホームページ開設率は6割と、製造業、宿泊業等の他の産業よりも低い水準です。
法人化されているケースで6割ですので、個人事業主に至ってはさらに低いと考えられます。
そのため、大手企業でも未だに取引先からの紹介に頼って、工事会社を探しているのが現実です。
発注側も人手不足の中、「電話帳」ではあまりに非効率です。

建設工事マッチングプラットフォーム事業「SUSTINA(サスティナ)」では、独自のデータベースに基づき、元請企業の工事会社探しを支援するサービスを行っています。

全5回を終えて 

今回で、「職人企業3,600社のリアル」の連載は終わりです。
建設業に特化したマニアック極まりない記事をお読みいただき、皆様ありがとうございました。

↓ 全5回の記事のマガジンはコチラ。

ConTech総研は幅広い方からのご意見をお待ちしております。
ご関心を持たれた方は、TwitterやSUSTINA問い合わせページ等からご意見、お問い合わせいただければ幸いです。

この記事を書いた人:髙木 健次(ConTech総研)

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