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③受注 × 採用 ~ 地域・工種別に個別対策が必要

前回のレポート

第二回レポート「職人の課題」はいかがでしたか?

↓前回第二回のレポート

今回のまとめ

今回、第三回のテーマは、「受注」「採用」の二つの相関です。
第一回は職人不足といわれる中でも、「受注を希望する」企業の比率、第二回は「人材採用が課題」と回答する企業の比率を見ていきました。今回はその二つの組み合わせです。

結果は、地域・工種で全く状況が異なっており、例えば「地方の足場は受注より採用対策の方が重要」のように、個別に対策を立てる必要があることが分かりました。
災害時の職人不足も、この地域・工種による違いを考慮して対策を考える必要があると考えられます。(次回以降でより詳細にレポートします)

以下、詳細です。

①受注したい × 採用が課題 

3,600社の回答結果を「地域」「工種」別に整理・色分けしました。

図1

※神奈川、千葉、埼玉、大阪、愛知の1府4県
 他41道府県は以降の説明では省略のため「地方」と記載します。
濃いオレンジ:全体平均値から10%以上高い
薄いオレンジ:全体平均値より高い

②地域別 ~ 地方ほど課題を感じている

図2

「受注希望」を横軸、「採用が課題」を縦軸とした散布図を作成し、分析を行いました。右に行くほど、受注希望の比率が高く、上に行くほど採用が課題と感じる比率が高くなります。まず、地域別のプロットです。

「仕事はあるけど人が採れない」というコメントがあったので、上記の灰色の点線のように、「右下がり」のグラフを事前想定していました。
ところが実際はオレンジの「右上がり」のグラフとなり、想定とは逆の形となり、「地方の企業ほど受注、採用に課題を感じている」結果になりました。

内訳を確認したところ「受注希望」かつ「採用が課題と感じている」と両方が課題と回答している企業は全体の1割強と全体に占める割合は低かったので、地方では「受注はあるが採用に苦労している企業」「採用以前に受注に苦労している企業」の二極化が進んでいると考えられます。

③工種別 ~ 工種ごとに全く状況が異なる

図3

次に、②同様のプロットを工種別に行ったところ、工種ごとに大きく数字が散らばる結果となり、工種ごとに全く状況が異なっていました。

工種別に整理すると以下の通りです。
内装、大工:他工種と比較すると受注、採用とも課題を感じる企業は少ない
足場、電気:受注よりも採用を課題と認識している企業が多い(特に足場)
塗装   :受注、採用双方を課題と認識している企業が多い

④考察と次回以降のレポート

なぜ足場で採用がここまで課題になっているのか?なぜ内装は課題を感じている企業が少ないのか等、要因はこれからヒアリングを行いますが、
今回、「職人不足の議論は地域・工種別の傾向を踏まえて行う必要がある」ことは明確になりました。また、工種によっては受注よりも採用をより課題と感じていることも分かりました。(採用が出来れば他社と差別化できる)

これまで「地方工務店の販売戦略」等の「大きな括り」でのレポートや「売ること」に重きを置いた書籍は多くありましたが、現状を踏まえると、
職人企業側は例えば、「九州の足場業者の採用戦略」のように個別の対策、特に採用に関する対策が必要ではないかと考えられます。

元請側は、「九州のこの工種の確保は難しいから繁忙期前に早めに動こう」等、地域・工種別の傾向を踏まえた計画的な協力会社確保が必要になってきていると考えられます。既に、職人の確保の難しい地域で大型工事を行う場合、隣県から職人を確保する等の施策を実行しているゼネコンもあります。

災害時の対応もこの地域・工種別の違いを考慮する必要があります。詳しくは第四回以降でまとめますが、例えば、ただでさえ足場業者が不足する地域で災害が起こり、一斉に足場業者が必要になったらどうなるでしょうか?

第四回以降はこれまでの分析と国交省統計も踏まえながら、職人側、ハウスメーカー等の元請側それぞれにとって必要なことを考察します。

↓ 連載記事はこちら

①元請と職人たちのホンネ
https://contech.sustina.me/n/nd66a5a27ae6a
②職人の課題 ~ ダントツ一位は採用
https://contech.sustina.me/n/n625f8dc2e25c
③受注 × 採用 ~ 地域・工種別に個別対策が必要
https://contech.sustina.me/n/n2ba63558b887
④職人不足時代の工事会社のリアル
https://contech.sustina.me/n/nf357b1baaf9d
⑤職人不足時代の元請の工事会社探し
https://contech.sustina.me/n/n7c0eeca48402

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